高山植物とは

キタダケソウ

「高山植物」とは、高山帯に適応し、そこが本拠となっている植物の事です。しかし、一般的には高山帯で分化した植物だけでなく、氷河時代に氷河の南下とともにやってきて現在まで高山帯に残っている植物も含めています。
この氷河期の遺存植物の中には、ほとんど形態や形質の変化が起こらなかったものもあれば、種分化がおこりまくった別種といわれるほど変化したものがあります。たとえ亜高山帯や山地帯に生活の本拠を持つ植物でも「高山植物」と呼ぶ場合があります。

氷河期が訪れる以前の北半球の広い地域は気候が温暖で、ブナ、コナラ、カエデなどの落葉広葉樹林に覆われていましたが、氷河期の訪れで絶滅したり、南へと追いやられたりしました。
一方、氷河の南下とともに移動してきた氷河植物群は、氷河の拡大によって生じた寒冷な気候が支配する地域を中心に分布域を広げていきました。この植物群はチョウノスケソウ属(ドリアス)にちなみ、ドリアス植物群と呼ばれています。この植物群が現在の北半球の中緯度地域の高山植物群の基本構成要素となっています。