高山植物を守るために

高山植物は一般的には高山帯に生育しますが、緯度が高くなるにしたがい低地にも生育し、北海道では平地近くにも見られます。この生育地域は、一年の大部分を氷雪に覆われ、低温と強風にさらされるなど厳しい環境にあります。夏は短く直射日光は強く、紫外線が多く気温の差も大きく、しかも、土壌は不安定で水分や養分も乏しいといった環境に生育する高山植物は矮小で成長も遅く生育期間も短いものです。

このような厳しい環境の植物は、生育地に踏み込んだ人の足跡や、心なく掘り盗った跡に溜まった雨から崩壊が始まったり、せっかく咲いたのに子孫を残す前につみ取られたりといった、心無い人の行為からもその生育存在が危機にさらされることとなります。ましてや、営利を目的とした不法な採取などは一気に絶滅の危機にさらされることとなります。
また、高山帯にまで進出するようになったシカの食害や踏圧の影響は、高山植物絶滅危機をより一層深刻なものとなっています。